プレイヤーはビデオゲームの色からどのような影響を受けますか?
ビデオゲームのヴィジュアル・イメージは色、フォルム、スタイル、デザインなど多くの要素によって決定されます。今回その中のひとつであるカラーパレットについてお話しいたします。
色はプレイヤーの感情や行動に影響を与えます。2000年、ノーザンブリア大学の研究者が実験を行いました。被験者のグループには、背景画像の色が(ピング、オレンジ、紫、グリーン、レッド、ブルー)異なる簡単なゲームをプレイしてもらいます。
ブルースクリーンで遊んだグループは、プレイセッションを通して徐々にパフォーマンスを向上させました。 そして、赤で遊んだグループセッションの途中でピークに達し、その後すぐにプレイの技術が非常に下がりました。そのピークの瞬間から彼らはプレイに全く集中できませんでした。これは過度の興奮によって説明することができます。(赤い画面で遊んだ人はより速い心拍数を記録) アメリカの心理学者のロバート・プラッチクの研究によると、色はいくつかの単純な感情に関連付けることができます。例えば、青は「驚き」、緑は「恐怖」、黄色は「喜び」、オレンジは「期待」、赤は「怒り」、青は「悲しみ」に対応します。
2011年、オハイオ大学 の研究者は、ゲームのカラーパレットがプレイヤーのパフォーマンスにどのように影響するかを調べようとしました。実験では”Half-Life 2” のレベルエディター で使用された照明の色の効果を測定しました。緑の照明は結果に悪影響を与えることが判明しました。青、赤、または「ニュートラル」の照明の下でプレイした被験者と比較して、被験者はレベルを通過する時間が長くなり、プレイヤーの操作するキャラクターが死亡する頻度が高くなりました。プレイヤーはまた、青い照明に著しく気を取られました。研究者たちはまた、プレイヤーは赤や青といった支配的な色によって強い感情を引き起こすこと発見しました。そこでは彼らは中立的な色にはあまり反応しませんでした。
主にインディペント・ゲームなどの抽象的なゲームの開発者は、プレイヤーがゲームに感情移入できるように全く異なる支配的な色をベースとして、デザインします。開発者のハーマン・タリケンとジョナサン・ベイリーが”Gamasutra”の記事で指摘しているように、ベースカラーを変更することは、コンテンツの多様性な幻想を作り出すための安価な方法のひとつです。
感情を管理するためのもうひとつのツールは、さまざまな色です。科学者が発見したように、さまざまなパレットがポジティブな感情(「喜び」、「悲しみ」など)を呼び起こし、対応する色と組み合わせて、興奮を引き起こします。逆に、無地のカラーパレットには落ち着かせる効果があります。
ゲームにおける色もうひとつの重要な機能は、戦争当事者の差別化です。たとえば、一方の軍隊は赤に、もう一方の軍隊は青に着色されます。そしてここでも、心理学に関連する疑問が生じます。
たとえば、心理学者であり、”Psychology of Video Games” ブログの著者であるジェームズ・マディガンは、赤の特性に注目しています。それは、無意識のうちに高い優位性に関連付けられることです。この現象はスポーツ界では長い間知られていることです。一般的に、審判員は赤いユニフォームを着たアスリートを支持する決定を下す傾向があり、さらに赤い色は心理的に対戦相手に圧力をかけます。
2017年、スウェーデンの研究者マティアス・マンソンは、キャラクターの描かれている色がプレイヤーの知覚に影響を与えるかどうか疑問に思いました。彼は、被験者のプレイヤーに異なる色の2つのキャラクターを見せ、どちらが「悪」でどちらが「善」であるかを尋ねました。プレイヤーは緑、白、青を明確に「良いキャラクター」の色だと考えています。また、赤、黒は「悪いキャラクター」だと考えています。黄色と紫は「良い」傾向があり、茶色と灰色は「悪い」傾向があります。回答者はどのキャラクターが「良い」で、どれが「悪い」かについて明確な意見を持っていました。しかしゲーム開発者は常にそのようなステレオタイプにしたがっているとは限りません。
たとえば、”Far Cry 4” の中の謎の異世界「シャングリラ」の制作について、ゲームのアートディレクターであるジョシュア・クックは、開発者が「悪」を青で描くことにした理由を説明しました。心理学者の調査によると、これは「良い」と見なされます。ゲーム制作者は 「シャングリラ」のテーマカラーである赤と金のカラーパレットに可能な限り対照的で、この世界に異質であると感じた何かを必要としていました。さらに、青いユニフォームを着たベースゲームでは、青い悪魔が敵に関連付けられています。
レベル・デザイナーは、ナビゲーションに色を使用することがよくあります。たとえば、 ”Mirror’s Edge” では、ターゲットへの最も効果的なパスは常に赤いオブジェクトでマークされ、”The Last of Us” では、常に黄色い何かに向かって移動する必要があります。これはよく知られている心理的なトリックです。黄色いドアがふたつあると、プレーヤーの脳は無意識のうちに黄色いものを探し始めます。しかし、調査によると、どの色でもこの役割を果たすことができます。ここで重要なのは、ある決められた色によるのものではなく、ゲーム制作における色彩のルールの一貫性なのです。
《参考資料》 Colors and Emotions in Video Games:ゲームプログラム専攻 2年 ママトワ・アナスタシア