『ビジネスを変える「ゲームニクス」』

ゲームって楽しいですよね。なかなかやめ時が見つからなくて、気付いたら思ってたより時間が経っていたなんてこともよくあります。新しいゲームを始めるときも、最近のゲームには説明書がないことも多いですが、なんとなく進めていけば大体なんとかなって、気付いたらやめ時がまたどこかにいってしまう…。

そんな楽しいゲーム。当たり前ですが、作った人がいます。

その作った人は、あなたがどこに興味を持って、何をしたくなって、どんな感情になるかを、ゲームの裏側で操っているのです!一体どんな魔法を使っているのでしょうか。

 

亜細亜大学都市創造学部教授、サイトウアキヒロ先生は、この魔法に「ゲームニクス」という名前を付けました。 長年のゲームクリエイター経験で、日本のゲームには世界を夢中にさせるメカニクスがあることを発見し、そしてそれをゲーム以外の分野にも生かしてほしいという思いから本書を執筆することにしました。

「ゲームニクス」とは日本のゲームが培ってきた「人を夢中にさせる方法」のノウハウを体系化し、まとめたものです。そこには日本人の「おもてなしの心」がこれでもかと詰め込まれています。

 

本書は4つの章に分かれており、序章「なぜゲームのノウハウが家電や教育、デジタル機器に必要なのか」、1章「ゲームニクス成立の過程」、2章「ゲームニクス理論」、3章「ゲームニクス応用」となっていてさらに「ゲームニクスは世界で通用する」「はまる演出」「教育・学習機器応用」などそれぞれの章で興味を惹く見出しがついており、どこから見ても「ゲームニクス」が学べる構成になっています。

理論解説には、必ず実例が実際のゲーム画面とともに配置されています。懐かしいゲームから最新のゲームまで、日本製の有名作が勢揃いで、ぱらぱらめくっているだけでもゲーム好きは楽しくなってきます。

ここで本書でも解説されている「ゲームニクス」の一例をご紹介します。  みなさん大好き『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂)からです。このゲームの最初のステージ「1−1」はほんとに「ゲームニクス」が盛り沢山です。まずなにもないところでゲームが始まります。左が行き止まりなので右に進むゲームだと分かります。次にレンガのブロックと「?」が書かれたブロック、そして敵(クリボー)が現れます。「?」を叩いたらキノコ(パワーアップアイテム)が出てきてこちらに向かってきますが、敵を避けると上のブロックに頭をぶつけてキノコに触ってしまうよう設計されています。キノコに触れると効果音とともにキャラが大きくなり、パワーアップしたことが分かります。  ほんの数秒の間に様々な情報をプレイヤーに与え、自然に学習させます。「ゲームニクス」のすごいところの一つです。 本書では他にも数々の実例とともに理論の解説を行なっています。

そして「ゲームニクス」はゲームだけのものではありません! WEBサイトのレイアウト、スマホアプリのデザイン、教育における学習効果の向上、リハビリのモチベーション、施設設備の快適性、他にもたくさん…。

世界を夢中にさせてきた、日本ゲームのノウハウ「ゲームニクス」。 これからあらゆるビジネスのスタンダードになる数々の魔法を、本書を通すことで理論として学習することができます。 新しいものの見方を獲得し、ビジネスが変わる瞬間を体験したい方はこの『ビジネスを変える「ゲームニクス」』を手に取ってみてはいかがでしょうか。

ノベル&シナリオ専攻 1年 河本 ワダチ