「セカイ」から「世界」へ! 大きく羽ばたく初音ミクの可能性とは?

 セカイ」から世界へ! 13年目の初音ミクが多くのファンを今も魅了し続けるヒミツとは?  

 今年9月30日、リズムゲームアプリである『プロジェクトセカイカラフルステージ! feat.初音ミク』がリリースされた。リリースされて間もないが、すでに多くの反響や話題を呼んでいる。

 長年ボカロとリズムゲームを愛している私にとってはスマホのリズムゲームで、たくさんのボカロ曲をプレイできることは嬉しい限りだ。  

 リズムゲームが出た、とは言っても、何もボカロのリズムゲームが初めて出たというわけではない。SEGAから発売されている『初音ミク-Project DIVA-』がシリーズとして数多く出ている。PSPから始まり、PSやNintendo Switchなど、時代に合わせてさまざまなコンシューマー(家庭用ゲーム機)で発売されてきた。また、DIVAシリーズはアーケード版も出ており、ゲームセンターでも楽しむことはできる。  

 それでも、コンシューマーを必要とするソフトよりもスマホでプレイできる手軽さや、どこでも気軽にできる点を思うとやっぱりスマホアプリでリリースされたことは大きいといえるだろう。  

 何より、今までのDIVAシリーズや様々なゲームとコラボしていた今までとは大きく異なる特徴がある。  それは「初音ミクが1人のキャラクターとしてストーリーに登場している」ことだ。  

 プロセカの世界観には、現実の「世界」ともう一つの「セカイ」がある。ミクたちは、キャラクターたちが普段暮らしている現実世界ではバーチャル・シンガーという存在だが、登場人物たちの想いからできた「セカイ」で、さまざまな容姿や性格となって現れるのだ。  

 キャラたちにアドバイスをしたり、お手本になったり…。それぞれが抱える悩みで立ち止まりそうになるキャラたちの背中を押すような役割として登場する。  

 「世界」ではバーチャル・シンガーとして。「セカイ」では、キャラたちのアドバイザーとして。キャラクターたちのユニットの数に合わせて「セカイ」は5つあるが、その「セカイ」ごとによって、バーチャル・シンガーたちの性格にも変化がある。それにはミクの声の調子や口調などにも変化が必要になってくるわけだが、そこも含めて新しいミクの可能性を感じられるのは、本ゲームにおけるさらなる魅力だと言えるだろう。

 また、本ゲームには定番曲から、最近の人気曲さらにはボカロP(ボカロ楽曲を制作するユーザー)たちによる書きおろし楽曲など、前から好きな人も最近ボカロを知ったという人も楽しむことができる。  さらに、このゲームは賞金付きのゲーム大会も開催されている。eスポーツイベント「RAGE(レイジ)」が「RAGE プロジェクトセカイ 2020 Winter powered by AQUOS」を開催した。12月13日にはオフラインでの決勝大会が開催されている。  

 リズムゲームのeスポーツは数が少ないこともあり、注目を集めた。ゲームというだけでなく、eスポーツとしても初音ミクは音声合成ソフトの枠を大きく飛び越えて展開していっているのだ。  

 今回プロセカをリリースしたのは「株式会社Colorful Palette」だ。Colorful Paletteは2018年6月に、「株式会社Craft Egg」の新しいスタジオとして設立された新しい会社である。  

 Craft Eggといえば、人気リズムゲームアプリの「ガールズバンドパーティ!」で有名な会社である。キャラ達のちょっとした会話を見ることができるホーム画面や、マッチングした人との協力プレイできるモードなど「バンドリ」をプレイしたことのある人としては、どこか馴染みのあるシステムが多いのも特徴といえるだろう。  

 初音ミクが生まれて、今年で13年になった。今となっては日本だけでなく世界中にも多くのファンが存在する初音ミクはこれからも時代の流れに乗って様々な形で私達の「世界」に登場してきてくれることだろう。

次元の波を乗り越え。

編集:ノベル&シナリオ専攻 1年 野水聖来