『人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学 嘘と説得、コミュニケーショントレーニング』
著者:丹野宏昭・児玉健
出版:新曜社
2015年7月25日 発行
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『人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学 嘘と説得、コミュニケーショントレーニング』
著者:丹野宏昭・児玉健
出版:新曜社
2015年7月25日 発行
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「人狼ゲームから学べるコミュニケーションのいろは」
人狼ゲーム。やったことがある人もない人も、そのワードは聞いたことがあるのではないだろうか。
プレイヤーは村人となり、自分達の中に紛れた人狼を見つけるために昼のターンに話し合いを行い、多数決で追放する。夜のターン、人狼は村人の中から一人を食べる(追放する)ことで、村人たちを減らしていく。村人の数が人狼と同じ数になる前に、人狼を全員追放できたら村人の勝利となる。
人狼ゲームでは、昼のターンに行われる話し合いがゲームの勝敗をわける何よりのカギだ。
この『人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学 嘘と説得、コミュニケーショントレーニング』では、そんな人狼ゲーム最大の特徴である話し合いを用いて、コミュニケーションについて語っている。
本書の題名にもあるように、この本では「嘘」と「説得」に着眼点を置いている。人狼ゲームの話し合いにおいて、必ず「嘘をつく」「嘘をつかれる」ということが発生してくる。また、嘘をついたりつかれたりする中で「相手を説得させる」ことも重要になってくるのだ。
「人が嘘をつく時に増える仕草と減少する仕草について」や、「人間は嘘を見抜くことができるのか」、「説得されやすいのはどんな人か」、「どういう提案をしたら、相手に納得してもらいやすいか」。
この本には、そんな嘘と説得に関する様々な研究結果がデータまで細かく紹介されており、それに基づいた説明がなされている。
また、4章には人狼ゲームを利用したコミュニケーショントレーニングが紹介されている。人狼ゲーム中の一連の流れは同じであるが、このゲームでは勝敗ではなく、あくまで話し合いで相手を説得させられるかに重きを置いているのが違いである。
ゲームの後に自分自身の振り返りをしていき、ゲームの進行役であるGM(ゲームマスター)は、プレイヤーの評価をする。振り返りにて相違点があった場合フェードアウトしていくのだ。これを繰り返すことで、コミュニケーション力のトレーニングをしていく。GMがゲームを進行させるための台本と、ゲームスタートから振り返り、その後まで記載されている。振り返りの時の注意点、振り返りシートや記録用紙もあるので興味がある方はコピーして実際にプレイしてみるのもいいだろう。
また最後には、この本を著した心理学のプロである丹野氏と人狼ゲームのプロである児玉氏の対談の様子が掲載されている。心理学といわれると一見難しいと感じるかもしれないが、人狼ゲームという多くの方が知っており、なかには実際にプレイしたこともある方もいるであろう有名なゲームを交えて書かれているので、読みやすい一冊となっている。
実際私も人狼ゲームのルールを知っていて、心理学に少し興味がある程度だったが、嘘に関する考えや説得するときのポイントなど、興味深く読むことができた。
本書は人狼ゲームを知っている人だけでなく、心理学について興味を持っている人、また話し合いでの説得方法やコミュニケーションの向上などに興味がある人にもぜひおすすめしたい。
ノベル&シナリオ専攻 1年 野水聖来