あまた株式会社
ゲーム事業から、VR、映像、コミックなど多くのエンターテインメントの制作に、取り組んでいるあまた株式会社様。 ゲーム開発では、RPG、アクション、シミュレーション、パズルなど幅広いジャンルに挑戦し、自社VRの「Last Labyrinth(ラストラビリンス)」を制作し、VRやAR、コンシューマーなどハイレベルなゲーム開発を目指しています。 今回は、会社概要や社員育成、ゲームに関すること、ゲームという枠を飛び出した、挑戦している映像制作などを社長様の髙橋様と、社員様の太田様にお話を伺いました。
『あまた株式会社社長・高橋宏典様にお伺いいたしました』
まず最初に会社の事業の概要をお伺いしたいと思います。
創業して今13年目となります。規模としては社員数は210数名です。主な業務としてはゲームの企画開発というところで言いますと、スマートフォンのモバイルのオンラインゲームと、コンソールとかPCとかVRと行ったHDのゲーム開発が二本柱になっています。
ゲーム開発会社の特徴としては先ほどモバイルとコンソールとかPCとかハイエンド、HDのゲームをやっていると言っていましたが開発会社さんいろいろカラーがあるで弊社は割とマルチプラットフォームでゲームジャンルとしても割とオールジャンルです。どこかRPGに強いですとかアクションに強いということはないのですが、その代わりに幅広い、いろいろなプロジェクトにチャレンジしているところがひとつの特徴だと思います。
ゲーム事業に関してはインディー規模ですが、自社でのパブリッシングというところにも挑戦していていまして、現在『ラストラビリンス』というVRのマルチプラットフォームで展開しているタイトルを1年前に全世界同時配信をはじめました。2020年11月下旬にPS4のパッケージ版を発売いたしました。
クリエイティブ系の仕事面ではゲーム会社とは違うところとして映像事業をやっております。実写のテレビドラマとか映画とかの企画プロデュースも複数本手掛けております。これが概要です。
設立をした経緯などをお伺いできればと思います。
私1人でまずは最初起業したのですが実質、現在一緒にやっている副社長の増田と2人で共同創業した会社です。もともと2人とも長くゲーム業界で「自分たちの強みはゲーム開発だよね」というようなことを考えていました。ですからインターネットという成長している領域の掛け合わせで、創業当初はタイミング的に、モバゲーさんとか、グリーさんなどのブラウザーのソーシャルゲームのプラットホームのほうが非常に伸びていた時期でしたので、その領域のものが作れる事業を始めました。
そのあと徐々にモバイルのオンライン。スマホネイティブのゲームをつくるようになり、 もともと私も増田も現在の社員も何割かのベテランは、家庭用ゲーム機などを作ってきていたメンバーでしたので、家庭用ゲーム機とかPC向けの物の開発をするようになって今にいたりました。
幅広い事業を手掛けています。いろいろな業種の人がいると思いますが、連携をとるため今工夫していることが何かありますでしょうか。
社内では情報共有のための仕組みはいくつかあります。コロナ以前の話も混ざってしまいますが、前者でいうと「あまたカンファレンス」という名前で、以前は半年に1回。今はオンラインになっているので3か月に1回全社会議的をしています。そこで会社の業績を全社員で周知をしたり、社内で動いているプロジェクトの情報共有をしています。
コロナ以前にはシャッフルランチという制度があり、これは会社のメンバーから4人をランダムマッチングでセレクトして会社がランチ代を出すというものです。普段同じプロジェクトの人とは話すけれど、全然話したことのないようなほかのプロジェクトの人ともランチを食べながら会社の中のコネクションを増やしていこうという制度です。
週に2組ぐらいのペースで実施していたので、社員側からみると3ヵ月に1回シャッフルランチのタイミングがやってくる頻度だったので、案外楽しみにしている人は多かったです。普段よりも少し良いところに食べに行こうみたいな感じだと思います。
今はリモートとなっているのでシャッフルランチに代わるような社内の知り合い、他のプロジェクトの人ともコミュニケーション取れるような企画を新しく考えています。
会社の中心人物はソニーの出身者多いように感じがしますが会社の成り立ちや成長、何かご関係などありましたでしょうか。
大体みんな自分のキャリアの中での知り合いに声掛けたりしています。当時のソニーコンピュータや今のソニーインタラクティブが多いと思います。私自身もソニーに5年8カ月ほど在籍していましたのでその時に一緒に仕事したメンバーが結果的に多くなったと思います。会社の成長で関係があるといえば、そこでやった経験が生きていると思いますけれど、別にソニー出身だから仕事を依頼されるわけではなくて、どちらかと言えばしっかり開発をしてきて今は規模がそれなりに大きくなってきたということです。ですから、全社員がソニー出身でもないので、そこは会社にいるメンバーが積み上げてきた実績です。そしてさらに仕事を展開しているようなサイクルになっていると思います。
ゲーム開発についてお話を聞きたいと思います。あまた東京ゲームズはじめ、面白いゲームをたくさん出されていると思いますが、どういうところから着想を得ているのでしょうか。
これはケースバイケースとしか言いようがないのですが大体そのプラットフォームなどを含めてこのようなプロジェクトをやろうというところで、みんなでアイデアを出しながら選んでいます。
最先端のゲームデバイスであるVRの開発も積極的に開発されている印象です。次にまた新しいタイプのデバイスが開発されたとしたらどのような環境になると予想されてますでしょうか。
まだ存在してないものなので検討はつかないですけれど今後、ゲームとかインターネットコンテンツニーズが上がってきそうだなと思っているのが、ARグラスだったりMRグラスなど現実世界にCGなどをオーバーレイしてプレイするようなデバイス向けのものは、まだあまり本格的なゲームのようなものは出ていないです。そういうところのエンタメやコンテンツはニーズがあるのかなと思っています。
オンラインゲームの運営をされていますが、どのようなところに気を付けていますでしょうか。
オンラインゲームの運営の場合、お客様の反応を見て飽きていかないように運営していかなければならない部分がありまして、レストランやテーマパークの運営に近いと思います。
例えば人気のレストランの中でも季節限定メニューがあると思います。定番メニューもしっかりやっていかないといけませんが、季節を感じるようなものとか「これ新しいものだから食べにいってみたいな」というものをバランスよく加えていかないといけません。お客様はどうしても定番の同じものだけをやっていると徐々にそれに慣れていってしまって飽きてしまいます。季節感のあるものを入れたり、定番メニューもずっと同じ味だけだといけないので、日々チューニングしたり工夫をしますね。お客様の反応を見てそこに合わせていろいろな遊び方、メニューを提供していくのが重要なのかと思っています。
社員の育成に対してどのようにお考えでしょうか。
基本的にはチャレンジする意欲がある人にはできるだけチャンスがある機会を作りたいと思っています。ただ、社会人になると良くも悪くも会社が育成したいといっても、本人がその気がない場合は育成しようがないのでやはり、まずは自分で成長する意欲を持ってもらうところは大事だと思ってします。
それについてはプロジェクトのアサインについたりします。よくストレッチャーアサイメントと言いますが、「できること」をやってても成長しないですよね。なぜかと言うとそれはもう「できていること」なので逆言うとその「できてないこと」にチャレンジするような場所を作っていくことは、育成というか成長には大事だと思っています。
あとは社員に対してはできるだけチャレンジしてほしいと考えています。例えば人生はRPGみたいなモノとずっ考えると、最初の狩場でやっていてもレベルは上がりません。練習だけしてても上がりません。実践を積んでいかないと、バトルをしないと絶対にレベル上がらないですよ。それは仕事の場所でもお同じです。だからチャレンジすることです、とみんなに言っています。
御社には「ベレンス」と言う音楽制作チームがありますがそれについて教えてください。
音楽制作チームというか社内のサウンドの専門職がいます。そのサウンドのセクションではないけど作曲できる人も入っていたりするような社内横断的なプロジェクトというのが「ベレンス」という位置付けです。それ以外に別に会社のプロジェクトチームはありますけれど、そういう括りで活動しているのはあまりないです。各ゲーム企画別に作ったりはしています。
「ベレンス」はそれを超えた枠組としてサウンドのセクション以外の人間も入ってイベントに参加をしたり、オリジナルCD作る活動をしているのでこれを称して「ベレンス」と言っています。
これは私が名前をつけたわけではないのですが、気付いたら名乗っていました。
日本画の顔料の名前で会社の各部屋に名前がついています。この会議室(取材させていただいている部屋)の名前は「伯林青(ベレンス)」と読みます。それは「ベルリンブルー」のことです。漢字は「伯林青」と書きます。ベルリンを漢字で表すと「伯林」です。そこから名前をつけました。それをサウンドの人が気に入ったらしくてサウンドチームが「ベレンス」という名前になりました。
入社の際の社員としのスキルをどのようにお考えでしょうか。
スキル的に言えばいわゆる新卒さんに即戦力は求められないと思っています。中には新卒さんでも大変優秀な人がいますけれど、ですがそういう人たちでも、いきなりメインプログラマーになれるかというと、それほど簡単な業界ではないです。やはり5年10年と経験を積んでいかないと今の複雑化して巨大なゲーム開発の全容が、なかなか把握できないような大変な時代になってきていると思います。
そういったことからプログラマーだったらオブジェクト思考言語のきちんとしたところをいかにしっかりできているかという基礎の部分が大事です。アーティストだったら当たり前ですが、デッサンは当然として、各種ツールというブレイションもしっかり習得しなくてはなりません。まず基本的な部分がしっかりできているのか、ということを弊社では非常に重視します。
幼少期から発見されて天才と呼ばれている人が世界には何人かいますが、自分の周りを見わたしても、世の中から発見されてないということは、自分たちは凡人だということなのです。
良くも悪くもただ、会社という仕組みというか組織というのは普通の人たちがたくさん集まるところです。1人の天才では作り得ないような、すごいものを作って世に問うことができます。そういうところが会社と言う組織の面白くて良いところだと思っています。そう言った部分のアウトプットを最大化する事に意識にしあうことが大事だと思います。
個人的なお考えや出来事を少しお伺いしたいと思います。今回のテーマである「ゲームとは」とみなさんにお伺いしています。高橋様のお考えをお聞かせてください。
僕にとってのゲームはいくつかの側面があるのですけれど、まずゲーム作りという職業は非常にやりがいもあり面白い仕事だと思っています。ただ、ゲームに限らず衣食住以外の特にエンターテイメントコンテンツは無くても死にはしないですよね。ご飯を食べられなかったら死にますけれど、ゲームは無くてもとりあえず生きていく上で不都合ではない。映画とかお芝居などもみなそうだと思います。
つまり世の中にとっては「なくても困らないものを作っている」と言う仕事だというのはすごく意識をしています。衣食住と関係のないからこそ、「このコンテンツやゲームに会えて良かった」「刺激を受けた」など、そういう「価値を持っているもの」ではないとお金を出していただく価値がないと思っています。そこは職業上とても気にしていますし重要です。
他にもゲームをプレイするタイプのゲーム開発者とゲームをプレイしないタイプのゲーム開発者がいますが、僕は後者であまりゲームをプレイしないタイプです。ゲームはしますが仕事になってしまうのでゲームに没頭できないと言うか、最新にむけてゲームとかエカニクスとかで遊んでいると「このゲームはどれくらいコストかかるのか」ということを考えはじめてしまうので全然集中できないです。あまり純粋に遊ぶと言うのが得意ではないタイプかもしれないですね。でもゲーム開発はやはり、やりがいがあり面白い仕事だと思っています。
あまた株式会社 代表取締役社長 高橋宏典様