あまた株式会社

 最先端のゲームデバイスであるVRにも積極的に手を伸ばされている印象です。次にまた新しいタイプのデバイスが出てくるとしたら、どのようなものになると予想されるでしょうか。

 難しい質問ですね(笑)。 わからないというのが正直なところですが、ここ数年でXR、VR、MR、ARとより仮想とリアルをリンクさせるみたいなところで進んできているので、そういうものが出てくると思っています。

 例えばホログラムってわかりますかね。なんか空気中に映像が出てきてそれをタッチすると操作できるみたいな。ケータイとかで実用化されたら、新しい時代がきそうだなと勝手に空想しています。例えばAmazonみたいなショッピングサイトで、商品の画像が空気中に立体でポンって出て商品のイメージが分かりやすくなるとか。

 そういう意味でゲームも画面上で立体的に見せる以外に、実際に立体で出力できるようになるので、それをうまく使ったゲームもできそうだなと新しい可能性をいろいろ感じています。全然なにか根拠をもとに話しているわけではないですが、そういうホログラムのようなものが出てきたら面白いなとは思っています。

 あまた株式会社様は映像作品も手掛けているとお聞きしましたが、ゲーム以外の事業として、今後どのような新しいことにチャレンジしたいとお考えでしょうか。

 あまた株式会社は、作ったゲームに登場するキャラクターをゲームだけではなく、コミックやアプリや、あるいは先ほど出てきた新しいデバイス向けの何かを作ったりすることを目指しています。あまた独自のキャラクター、いわゆるIPと言われているものを生み出し、可能性があれば様々なコンテンツに成長させていくということを積極的にチャレンジしていきたいと思っています。私個人も、漫画にできないかなとかVRにできないかなとかYouTubeと関連づけられないかなとか常にいろいろ考えています。

 コロナ禍の中で、困ったまたはよかったと感じたことはありますでしょうか。

 一番困ったことといえば、コミュニケーションが文面かテレビ電話などのオンラインに移行したことですね。テレビ電話で仕事をするようになってから相手の様子がわかりづらくなってしまったので、普段言葉以外の、仕草や目の動きが相手の状態を把握することにおいていかに重要かを思い知らされました。仕事が詰まってそうだな何か言いたそうにしているな、というのを察することがとても難しくなったのですごく困っています。

 よかったと感じているのは、やはり通勤がなくなったことです。私自身は会社までたった2駅ですが、そのたった2駅でも、駅まで歩く電車に乗るというのがなくなっただけで、こんなにも負担が減るのかというぐらい負担がなくなり、その点はすごく楽になったと感じる部分です。

 あとは仕事でテレビ電話をよく利用しますが、そのなかの画面共有機能が便利だと思います。少し情報のすり合わせをしたいとき、例えばパワポの資料を共有したいときにその画面を全員で見たりすることを、テレワーク前だとあまり行っていませんでしたが、テレワークをきっかけによく行うようになったので、このような情報の共有は大切だなと気づきました。

 ゲーム制作会社に就職されて、ゲームをプレイする側から作る側になったと思いますが、 ゲームの見方はどのように変わりましたでしょうか。

 ゲームにはいろいろなタイプがありますよね。写実的でひきこまれてまるで映画のように没入できるゲームや、みんなでワイワイ楽しめるパーティーゲームのようなものなど。そういう面白さというところでは個人的な見方は変わっていません。ですがやはり実際に現場でゲーム制作していると技術面が気になってきます。

 例えばイベントシーンなどで、カメラがどこをどのように写しているかなんて、ただ遊んでいた頃はなんとなくかっこいいなとしか思っていませんでしたが、そういうところも技術職に就いた今では気になってきます。あとはあるゲームでバトルに移行するとき、たくさん読み込むものがあるのに異常にロードが早かったので、多分バトル前にアセットを裏読みしているなとか、いろいろ推測するようになりました。こういう視点は作る側になったことで獲得したものだと思います。

 ゲーム自体が楽しめなくなったということはありませんでしたね。技術的な面が気になりつつも、ストーリーにのめり込んだり、友達と対戦ゲームをして楽しんだり、ゲームに没頭すること自体は今でもできるので、単純に少し視野が広がってもっと深く楽しめるようになったと感じています。

 思い出のゲームはなんですか。

 一番ゲームをやっていたのは中学生でした。近所に友達がいて、私と私の兄弟と、友達と友達の兄弟の4人で、学校が終わったら毎日のように家に集まってゲームキューブで遊んでいました。『大乱闘スマッシュブラザーズDX』『ファンタシースターオンライン』『カービィのエアライド』特にこの3つをやっていましたね。ファンタシースターでいい武器をみんなで取り合ったり、スマブラのチーム戦で兄弟対決とかやったり。お兄ちゃんがいい武器取りに行って喧嘩したりもしましたが、今はそれもいい思い出だったなと思います。

 ゲームから影響を受けたことはなんでしょうか。

 同じゲームでどっちが先に進められるかという遊びを友達とやっていて、早くゲームを進めたいので、私にとって学校は退屈な場所で、早く放課後にならないかなと小学生の時は毎日思っていました。でも学校が終わったら楽しいゲームができるということがモチベーションになって、まあ学校も頑張ってやるかみたいな気持ちで毎日過ごすようになりました。そういう意味ではゲームの楽しみというのが普段の生活に彩りを与えてくれたと思います。

 あなたにとってゲームとはなんでしょうか。

 ゲームというのは、人の生活をより豊かにするものだと思っています。それはいろいろな意味が含まれていて、私の場合パーティゲームをよくプレイするので、友達との仲を深めるものとして利用することが多いです。ゲームに没頭しているとみんな勝手にのめり込むし必死になるので、なにかを達成すると、図らずともみんなで成し遂げたぞやったー!みたいな一体感が生まれます。たまに格闘ゲームとかで戦ってボコボコにしても面白いです。

 普段の生活にゲームが加わることによって、その人の考え方とかを知ったり、人間関係を深めたりすることができるので、人の生活を豊かにするためのツールなのかなというように捉えています。

 これからの目標はなんでしょうか。

 仕事のやりがいという質問の最後の方にお話しした、自分ができなかったことができるようになったら嬉しいということ、それから自分が関わった人からありがとうとか助かったとか言ってもらえること。これらをもっと体験できるように伸ばしていきたいなと思っています。

 より多くの人からありがとうと言ってもらうためには、自分一人で完結するような仕事の範囲ではダメだなと感じていて、いろんな人を巻き込んでみんなに影響してみんなにとってよくなるように考えて、実現できるよう様々なことにチャレンジしていきたいと思っています。

 見えている目標として、あまたがチャレンジしていることで申し上げた通り、技術職の方々がより過ごしやすい環境づくりに取り組んでいくことが、これから数年の目標になると考えています。

 最後の質問になります。ゲーム業界を目指す人たちにお言葉をいただけますでしょうか。

 私自身働く前に、何だったらずっと楽しく働けるか考えたので、同じようにまず、ゲーム業界だったらワクワク楽しく働けそうと思ってもらいたいです。しかし実際に仕事をすると、やはり必ずしもずっと楽しい日々ではなく、辛い時もあると思います。そういう辛い時に踏ん張るための、自分の中のコアを持っていて欲しいです。自分は将来こういうことしたいから頑張れるみたいな、大変な時でも自分の中で揺らがない信念を持った上で業界に入ってきて欲しいなと思っています。そのコアがあるとほんとに強くて、少々人間関係やプロジェクトでうまくいかないことがあったとしても耐えられると思うので、まず自分の信念が何か考えた上で会社探しをすると、入社してからも充実した日々を過ごせるかなと思います。

●プロフィール/太田 健哉(おおた けんや) あまた株式会社 制作本部 技術開発部 技術課 主任 2016年、株式会社たゆたう(現あまた株式会社)に入社。 スマートフォンのゲームやコンテンツの開発にソフトウェアエンジニアとして従事した。 現在では新規ゲームタイトルにて開発進行業務を行いつつ、技術課主任としての業務も兼任している。

取材:ノベル&シナリオ専攻 2年 福嶋 大樹

取材:ゲームプランナー専攻 1年 河本 ワダチ

撮影:ゲームプログラム専攻 2年 ママトワ・アナスタシア