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「プラモデルの制作はゼロから完成まで全てに携わることができる。」

株式会社壽屋企画営業2部クラフトコンテンツチーム
係長 芦沢 勝
課長 野内 秀彦

株式会社壽屋(かぶしきかいしゃことぶきや):1947年創業。プラモデル、フィギュアなどの企画、開発、製造、販売を行う企業。本店は東京都立川市。
プラモデル『フレームアームズ』『フレームアームズ・ガール』、フィギュア『キューポッシュ』などの自社のオリジナル商品をはじめ数々のヒット商品を作っており高い評価を得ている。

芦沢 勝(あしざわ まさる):株式会社壽屋企画営業2部クラフトコンテンツチーム係長。プラモデル『フレームアームズ』『HMM』『ヘキサギア』などで原型・設計を務める。

野内 秀彦(のうち ひでひこ):株式会社壽屋企画営業2部クラフトコンテンツチーム課長。プラモデル『フレームアームズ』『フレームアームズ・ガール』『PSO2』などで企画を務める。

●HP:https://www.kotobukiya.co.jp/   コトブキヤ立川本店 Twitter:@kotobukiya_tkw

コトブキヤプラモデル Twitter:@kotobukiya_p
コトブキヤプラモデル企画チームYUKI Twitter:@nao02main
アーキテクトマン Twitter:@faman_type001
フレームアームズ・ガールアニメ公式 Twitter:@fagirl_official

◉世界にひとつしかない試作版の白い『マガツキ』

Q.主な仕事内容を教えてください。

芦沢:私の仕事は、デザイナーの描いた絵を使って、モデリング・設計の仕事をしています。3Dプリンタの保守管理から中国にいって工場を見てきたり、と製品の完成までのあらゆることが仕事です。

 商材としては『フレームアームズ』最近だと『ヘキサギア』という新しいシリーズが出ましたのでそちらが主な仕事です。少し前だと『ゾイド』をしばらくやっていました。

Q.最初に携わったプラモデルはなんでしょうか。

芦沢:弊社オリジナル商材である『M.S.G(モデリングサポートグッズ)』シリーズが最初に携わっていました。版権ものでしっかりしたロボットものになってくると『マブラヴ』あとは『ゾイド』です。そのあたりを同時並行で一緒に設計していました。

Q.今まで携わってきたプラモデルの中で気に入っている商品はなんですか。

芦沢:『ガンヘッド』です。

 変形をさせたのも含めて、それを作ったのがけっこう楽しかったです。それ以外でしたら、何年か前に『ゾイド』の『ゴジュラス』というとても大きい1000パーツクラスのものをやってました。あれはいろいろな意味で印象には残ってますね。

Q.職業柄やってしまうことはありますか。

芦沢:私はたとえば道路の縁石だとかの形状の流れ方とかを見てしまいますね。いろいろな形のモノが世には出回っていてそれに思いを込めて作っている人がいる。私もモノを作る人間だから、モノの形と作られ方、それを作った人を考えたりします。たかが道路の端っこのブロック1つとっても、「あっこれは楽して作ったな」とか「丁寧に作ったな」とか形の流れですぐわかってしまいます。そういうのがどうしても気になってしまう所ですね。

Q.プラモデルのギミックなどはどのように作っているのでしょうか。

野内:企画担当部の野内です。絵がある商品はもちろん絵に合わせて作っています。ですが、弊社ですと『ギガンティックアームズ』や『M.S.G』などは企画者がこんな武器が欲しいとか、こんな形のモノが欲しいとか考えてそのアイデアをデザイナーにデザインしてもらう。それを設計者に見せて、本当に商品にできるかどうか考えてもらっています。

 「これではすぐ折れるよ」とか「こんなのは入らないよ」とかいろいろ言われて商品にできない場合ももちろんあります。

芦沢:たとえば『アーセナルアームズ』とか「これぐらいの大きさの剣があまり売ってないから欲しい」と企画の中で上がって、「剣だけだったらつまらないからそれが半分に割れたり、小さい剣として使えたらいい」という話になります。

 さらに「取手がくるっと出てきたらいろいろな持ち方もできる」と半分遊びながら考えてます。

 『パワードガーディアン』なら、女の子が座れてキャタピラがあって更に上下半分に分かれて合体できる。それをラフにデザインして、それをデザイナーの人にもっとかっこよくデザインしてもらう。それを私が設計していきます。

Q.設計の仕事について詳しく教えて下さい。

芦沢:デザイナーに描いてもらった俯瞰の絵を、それを私が正面図、側面図などの三面図にリファインしていく。方眼紙に実際の商品と全く同じ大きさで細部までスケッチしていきます。

 なぜ方眼紙に実寸で描くかと言うと、パソコン上だといくらでもアップできてしまうからですね。自分が今どれくらいの大きさのモノを作っているかという感覚が、パソコンで作業していくと飛んでいってしまう。なので、3Dプリントしてみて、初めて「あっ、こんなに大きい」というミスを減らせるんです。そして、三面図を書く作業は、デザイナーがどういう意図でどういうデザインにしたのか、どうすればその形を作れるのかを、頭の中で整理する意味もあります。正面図と側面図で辻褄が合わなければ3次元形状でも再現できませんからね。

 その後、パーツ分割の案を練るために『分割図』という取り扱い説明書の雛形のような絵も作成します。こちらも主に手書きです。これらすべてできあがったら先に書いておいた三面図をパソコン上に貼りつけて形を作っていく。ここからが、CADという3Dソフトを実際に使ってのパソコン作業になります。でも、まだこれは形を作っただけ。中身としての機能はまだですし、パーツも分かれていません。

 ですので、それから先はひとつひとつのパーツをさらに分割していって、組み付けができるようにします。これが主な設計の仕事ですね。

 次に工場側の人間と「このパーツはここに配置してください」とか「ここは色が違うので違うパーツにしてください」というやりとりを行いながら、同じ色のパーツをひとつにまとめます。いわゆる金型の配置ですね。それができたら、工場の人に金型を作ってもらいます。その金型を作りやすいように図を作るのも仕事のひとつです。絵を描くだけではダメ、形を作るだけではダメ、量産を見るだけではダメ。トータルで見れて、やっとひとつのものができあがります。