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Pick! 3 Work Stage_海野隆弘

●グラフィックデザイナーに必要なものとは


 グラフィックデザイナーに必要なもの。これはたぶんクリエイター全般に言えることだと思うんですが、絶対に折れない心か、折れても復活できる心のどちらかだと思いますね。とはいってもやはり心が折れないっていう人なんてそうそういないので、ボコボコに言われて心が折れても散歩したり、一服したりして「よし、やるか」とまた作業に取りかかることができればそれでいいんじゃないかと。これは職業柄仕方ないことなのかもしれませんが、クライアントの要望どおり作ったつもりでも全否定されることなんて多々あるんですよ。正直、後出しなども余裕でされることありますし。ただ、それでいちいち寝込んでいるようでは話にならないから、切りかえて頑張ろうって感じです。
 とはいえ根を詰め過ぎてしまうのもそれはそれでダメなんです。そうやって心を病ませるくらいならば、一度頭のなかを空っぽにしたほうがいいかもしれません。それでも頭の片隅に邪念がちらつくことがあるかもしれませんが、時には逃げることも大事ですから。好きだからこそ、嫌なことをやらなければいけないときってつらいですしね。もちろん、最終的には逃げずにやらなければいけないんですが、途中段階にこだわって壊れたら元も子もないので。それなら過程はどうあれ最低限である納期に間に合わせたほうがよほど健全的です。
 だから私なんかは、休憩の合間に終わらないプラモデルを作っています。要は、途中までやって少し置いて、また何年かしたら少しだけ触るみたいな作り方なんですがね。ただこれ、日々締め切りばかりだから終わらないのが良いというか……「お前なぞ終わらせてやるか!」みたいな感じで、仕事場の傍らに置いてあります。


●今後の目標


 これといった目標はないんですが。ただ、やめるときにやり切ったという満足感を得られれば、それでいいかなと思っていますね。それこそ、ご飯をお腹いっぱい食べて嬉しいあの時のように。


海野氏と取材メンバー