江副 章之介

レイミア プレスは版画集や蔵書票集の出版を主とした出版社だ。社主の江副章之介さんの、敬愛する銅版画家の作品集がほしいという願いから生まれたものだ。
一方で、愛書家や蔵書票愛好家としても知られている江副さん。本に対する思いは人一倍大きく、本について語るときは宝物を自慢するようでもあった。 そんな江副さんに、思いの丈を語ってもらった。

五感すべてを満たしてくれる本を求めて、私はルリユールという文化に行き着きました。

「自分の好きな本は自分で出版しよう」

2007年2月にレイミア プレスを設立した江副さん。自分の敬愛する作家の本を書棚に収めるのが夢だったが、そのような本は本屋にはあまり置いてなく、それならば自分でつくってしまおうと考えたのが始まりだった。

——レイミア プレスでは、とにかく美しい本を出版することを第一に考えています。本というのは私の寿命よりも長生きするものです。私が死んだ後で「レイミア プレスではこの程度の本しか出版しなかったのか」と言われないためにも、美しい本をつくっていきたいと思っておりますし、また美しい本ならばみなさんが大事にしてくれるだろうと考えております。要するに自分だけの為ではなく、作家の為でもあり、愛書家の為でもあるのです。

社名は、私の敬愛するアルフォンス イノウエさんの銅版画作品に、スフィンクスやレイミア、クリスタベルなどギリシア神話や英詩・仏詩に出て来る女性をテーマにしたものが多いので、その中からお借りしました。

江副さんは、レイミア プレスを立ち上げた当初はまだ会社に勤めていた。会社というのは通常、副業は禁止されているものだが江副さんにとっての出版は、副業ではなく趣味であったらしい。処女出版にあたる『夢の半周』は構想から出版まで、およそ3年を費やしたという。利益を得るためではないので、自分が納得いくまで手間暇をかけて本づくりをしている、と江副さんは語った。

——出版社を立ち上げたのはいいのですが元手がゼロでしたので、すぐに資金面の問題にぶつかりました。そこで考えたのが、本を予約していただいた方から予約金として頒布価格の半分程度を前納していただき、印刷費、製本費、版画代などの資金として運用していく方法です。残りの半分に関しては、完成品をお届けしてからいただく形にしています。

しかし、時には予約をキャンセルする人がいたり、中には手に入れた本をオークションに出品する人がいます。……

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江副 章之介 -Ezoe Shonosuke-

1944年生まれ。愛書家および蔵書票愛好家。日本書票協会会員、東京製本倶楽部会員。本好きが高じて、読むだけの本から「五感で読む本」に目覚め、製本家にルリユールを依頼するようになる。2007年2月にはひとり版元「レイミア プレス」を設立。自身の敬愛する銅版画家たちの作品集を日々作り続けている。