creare - クレアーレ

「私にとってのクリエーティブは、家庭や生活などがしっかりあってこそ。」

You Tubeクリエーター「妄想グルメ」
伊藤 元亮・伊藤 里惠子

夫である伊藤元亮さん。妻である伊藤里恵子さん。夫婦2人で活躍し、家族5人を養う動画クリエーター。
2012年にYouTube NextUpにて入賞。
元亮さんは当初、サラリーマンとして会社に勤めていたが、家族と過ごす時間さえない忙しさに退社。
里恵子さんは結婚後、専業主婦として家族を支えていた。動画制作のメイン幼少時から工作が好きで、今の動画制作に活かしている
その後、自営業を始めるもうまくいかず。古物商として古本を売ったり、ブログでの広告収入などで、日銭を稼ぐ日々が続く。
そんな時、YouTubeの存在を知り、動画を出し始める。
今現在は、チャンネル登録者200万人以上の人気動画クリエーターとして、活躍している。

・動画を始めたきっかけと現在へと繋ぐもの

里 里惠子さん(以下、里と表記):当時、幼稚園の娘にキャラクター弁当を作ってくれとねだられたことがきっかけです。

 その過程で、どうしても食べてなくなってしまうのが惜しくて、写真と短い動画を撮っていました。

 そんなとき2008年ごろに偶然YouTubeの存在を知り、以前からブログをかいていましたが、文章を書くのは得意ではないし、動画を載せれば間が持つのではないかと思いYouTubeを始めました。

 そして、YouTubeに上げているうちに、徐々に再生回数が伸び始めたんです。それでここに時間と労力を集中させた方がいいのではないか、という結果になったんですね。そこから動画づくりに専念することを決めました。

元 元亮さん(以下、元と表記):初めは手探りでした。2009年ごろは、とにかく身の周りのものを撮って投稿してみての繰り返しで、試行錯誤の時代でした。2010年ごろになって、ようやく少しずつ妄想グルメの動画が収益化できるようになり、収入は微々たるものでしたが、私たちは動画をつくることに働きやすさを感じ ていました。

 それから2011年に、パートナーフォーラムというクリエーターが集まるYouTubeのイベントで、私たちと同じ一般の方たちが動画で活躍している姿をみたんです。もしかしたら自分たちにも可能性があるのではないか。ここでもっと本気で取り組めば、もしかしたらもっと違うものが見えてくるのではないか。そう思ったんですね。

そして、2012年にYouTube NextUp(YouTubeチャンネルの発展を支援する育成・支援プログラム)という動画のコンテストで入賞し、TV取材やニュースサイトなどに取り上げられ始めました。

私たちが今もこの動画を製作し続けていられるのは、パートナーフォーラムに参加したことで、動画製作へのやる気が出たことや、NextUpの賞をとったことなど、私たちにとっての盛り上がるイベントが続いていたので、モチベーションが落ちることなくいられたんです。そのことが、今も動画を続けていられる理由だと思います。

・お菓子作りのアイディアはひらめき!です

里:本当に思いつきというかひらめきです。トレンドに乗ると、それなりに人気が出るんですけれど、自分が興味ないとやれません。技術の面もあるかもしれないですけれど、やっぱり自分自身がやってみたいというのがないとできません。

 子どもたちもいろいろと教えてくれるんです。今はこういうのが流行ってるよ、と言った感じで。

元:なにが流行っているのか、どうなってこういう傾向になっているのか、そういうことを彼女に伝えるのが私の仕事です。伝えても、彼女の中で”なにか”がなければ全然反応しません。だけれど、伝えてみて、彼女のなかの”なにか”が反応したときは、スイッチが入って始まるんです。

 だから、クリエーティブなことに関しては、完全に彼女次第です。彼女がダメと言ったらダメ。それが今の私たちの決まりです。

 子どもたちもいろいろ教えてくれます。長男は体育会系だったし、次男はものづくりが好きで、長女は歌と音楽が好きなので、それぞれの立場で見えているものが違うんです。いつも違った切り口をリアルタイムで教えてもらっています。自分たちから取ろうとしても私たちの年代だと無理ですね。

・動画のネタが出てこなくて悩むことがないんです

里:ネタが出てこなくて悩むことがありますかと聞かれがちですが、それがないんです。今のところアイディアは尽きたことがありません。動画は私たちの収益にも関わってくることですから重要です。しかし、そのアイディアが妄想グルメ的に成功する動画なのかどうなのかは私にはわかりません。

 私にとっては、この動画はすごかった、これは甘かったと言われても、全部同じものなんです。2日でできたものも、手が掛かったものも、確かにあるんですけれど。

 でもあれは簡単そうだったと言われると、簡単じゃないんだよと思うこともあります。私の中でもいろいろと考えて、試行錯誤しているところがあるんです。

元:彼女にとって、食べたいものがなくならないのと一緒で、アイディアは常にあるんです。そういう意味で、彼女にはスランプというものがないんです。

 だから、すごい人気が出るんです。私たちの動画には、再生回数が1億回以上の動画が3本くらいあるんですが、その動画には、実はそんなに思い入れはないんです。

里:たしかに思い入れはないです。ですが、再生回数が1億回以上の動画が出たことを境に自分の中で、これでいいんだと確信できたことは確かですね。

・動画の撮影や編集にかかる時間は3日間

里:撮るのに1日。家族が出掛けてから帰ってくるまでの9時〜17時の間です。に写真・サムネイルまで全部撮ります。

 真面目に編集をすればだいたい1日。最後に動画を上げる前に確認してもらって、また編集して、あとはいろいろな要素を付け加えたりして、約3日ですね。

元:あくまでベースは家族の暮らしです。それはもうすべてに通じている話なので。そこに影響がでるような形にはしたくありません。

 だから、撮影は一発で終わらせます。編集はパソコン作業なので隙間時間で少しずつします。

里:こうして1週間に1本動画を出せるようにするんです。そのペースを最低限守っていきたいところではあります。

元:でも出せないときもあるんです。出せなかったとしても、明確な期限があるわけではありません。出せなかったのであれば、それは仕方のないことです。出せないのもまた、私たちのリアルなんです。