玉樹真一郎
もう少し玉樹さんご自身のことをお聞きしたいと思います。ところで座右の銘など普段から大切にしていることばがあればお聞かせください。
座右の銘を聞かれるなんて、恥ずかしい体験です。ドギマギします。仕事柄、いろいろな建て付けでセミナーや講演をやらせていただくことがあるのですが、その中で比較的評判が良い言葉として、こんな言葉をあげたいと思います。
『自分を巻き込めない人が、他人を巻き込めるわけがない』
私の仕事は企画屋です。実際の設計やデザインをすることもありますが基本的には企画屋だというスタンスでいます。
そして、さきほどの言葉は、企画屋の倫理観のことを言っている言葉です。私「俺が良い企画考えたから、お前ら作れよ!」みたいな企画屋はどうも苦手です。こういう人にこれは良い企画だって言われても、正直全然やる気が出ません。逆に「これ最高ですよ!も~!」って踊りながら、走りながら来るような企画屋さんが好きですし、私自身もそうなりたいと思っています。要はその企画屋さんは自分の考えたことでしっかりと自分を興奮させているということです。自分を巻き込めているかどうか。自分を巻き込むって結構なスキルだなと思います。
ひたすらおもしろいことをやり続けている人。これは凡人には難しいのではないかと思っています。99%の人はその人生のうち何年間かだけ、小分けになにかに興奮する時期がくるけれど、なにか冷めている、なにに対してもそんなにおもしろくないなっていう時期もあって当然です。大半の人はそういう人生を過ごしているような気がしています。
一生自分を巻き込み続けている天才がたまにいますよね。
ひたすらおもしろいことをやり続けている人。これは凡人にはむずかしいのではないかと思っています。99%の人はその人生のうち何年間かだけ、小分けになにかに興奮する時期がくるけれど、なにか冷めている、なにに対してもそんなにおもしろくないなっていう時期もあって当然です。大半の人はそういう人生を過ごしているような気がしています。
企画屋として、仲間と一緒に仕事をする以上、しっかりと自分を巻き込もうという意識でいます。逆に考えると、自分を巻き込めない人が他人を巻き込めるわけがないんです。自分すら喜ばせられない人が、だれかを喜ばせられるわけがないと思う。だからこそ、まずは自分が「熱いなぁこの企画」と思えるような企画を考えられるようにしたいし、自分を喜ばせることに責任を持ちたい、と思っています。
ちなみに、ネットに書いてあることをそのまま言ってしまいますが、40代くらいになると真顔でいるだけで周りの雰囲気を悪くするんです。笑っているだけ、というのも嫌なんですけど、自分を楽しげにするというスキルは絶対必須になってくるので、みなさんも楽しげに生きてください。見た目に表現してください。
天野祐吉さんという広告業界の巨人がむかし『外見は中身の一番外側である』と言ったんです。すごい言葉です
私見た目にコンプレックスがありまして、でも心は清いと思っていたんです。外見がそれについてこない、親から良い見てくれをもらえなかった、心と外見が釣り合っていないと思っていました。中身と外見は別ものだと思っていました。ですが、天野さんは、違うという。外見は内面がにじみ出ているものだ、という。今みなさん(取材をしている我々)が小奇麗な服を着ていらっしゃるというところから、すでにみなさんは真面目な方だなとか、誠意を見せてくれている優しい方だなとかを、たしかに私は感じ取っています。みなさんが着ているのはみなさんの心です。気持ちがかたちになったものが服です。こう考えると、見てくれって大事だと思います