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Pick! 10 Landscape&Writing works

    
空っぽの中身

秋田 祥昌


 去年の春、僕は江戸川区にある専門学校に通い始めた。
 十八年間、決して地元から離れず、高校も「近かったから」という理由で、自宅から自転車で十分の所に決めた。そうしたのは、単純に、僕に「なりたいもの」がなかったからで、上京して、一人暮らしを始めたのも、「なりたいもの」が見つかったから。専門学校のこと、一人暮らしのことを伝えた時、両親はとても驚いていたが、それでも、笑顔で快諾してくれた。

 だけれど、最近また、僕の「なりたいもの」が何なのか、わからなくなってきた。何かに挫折したわけじゃない。